この記事の概要
個人的に感じていた『難しさ』の探求っぽいこと
私は、どうしてか『箱と円筒で描く』(モルフォ人体デッサンミニシリーズ)を「なんかすごく難しいな~」と感じていたのですが、
その理由の探求みたいなアレで、『箱と円筒で描く』の参考資料の欄に載っていた、
- 『マイケル・ハンプトンの人体の描き方: 躍動感をとらえるアナトミーとデザイン』
- 『グレン・ビルプのドローイングマニュアル』
を購入してみたので、いつも通り『ふわっとした感想』を書いてみようと思います。
『グレン・ビルプのドローイングマニュアル』のふわっとした感想
単純なシェイプやフォームの重要性
グレン・ビルプ先生の本は、
- 球
- ボックス
- 球とボックス
- 楕円と円柱
など、ページ数の大部分を単純なシェイプやフォームの学習に割いてあります。
「私はそういうのが苦手だなあ」と感じていたのもあり、それを目当てに購入しました。
本書中でも、
前半のレッスンは最も重要で、一見したところでは、最も単純に思えるでしょう。私の経験からは、その単純さゆえに、生徒たちにとっては最も難しいようです。
p.16『グレン・ビルプのドローイングマニュアル』
とあるように私も例にもれず最も難しいと感じています。
一見単純そうに見えるドローイングが多いのですが、模写してみると、
- 前後関係を明確化している
- ジェスチャーを強調している
テクニックや要素を感じて「やっぱりすごい…」と驚嘆しました。
「なんかたぶんこれがその要素」と感じることはできるんですけど、うまく写し取ることがなかなかできなくて、これは精進あるのみ…と感じました。
まあ、それで諦めて「とりあえず写し取るんじゃなくて、感じたことを自分なりに表現してみようか」と、
写し取るのではなく、モデルを分析するのです。
『グレン・ビルプのドローイングマニュアル』
という言葉を利用して、とりあえず分析しつつのんびりやっています。
シンプルで重要なことを繰り返し教えてくれます
- ルールはありません、ツールです。
- 写し取るのではなく、モデルを分析するのです。
- 複雑なことを成し遂げるための3つの基本要素
など、重要なことを本文中で複数回繰り返し教えてくれて、長年教育者として従事しているビルプ先生の経験の豊かさを感じました。
ステップバイステップで手順を追って”シンプルかつ明快、そして論理的”に教えてくれるので「すごく優しくて良い先生だな~」と私は思いました。
それにしても、小麦袋かわいい
二章の扉絵に小麦袋がいるのですが、とてもかわいくて最高です。
小麦袋とは『たてなか流クイックスケッチ』で運命の出会いを果たした(運命の出会いを果たした…????)練習方法のようなものです。
二章の扉に小麦袋を見つけた瞬間、めちゃくちゃテンションが上がってしまいました。
なので、アイキャッチはリスペクトしつつのマイアレンジ小麦袋です。
『マイケル・ハンプトンの人体の描き方』のふわっとした感想
とりあえず、ぱらぱら見ていると思わぬ変化が…??
「ダイナミックな絵柄だな~」と思いながら、
- 脊椎(p.14~15)
- 工程(p.150~151)
- 足のエンベロープ化(p.212)
などをぱらぱら見ていたら、非常にわかりやすいくらいアタリを描くのがラクになりました。
構造の理解がしやすい人体デザイン
ハンプトン先生の絵は、
- 『構造の理解』
- 『シンプルな形状を用いてフォームを理解すること』
に特化したデザインなのかもしれないな??と私は感じました。
個人的には、p.182の『アナトミー:大腿』で「大腿筋膜張筋」の理解が非常に助けられたので感謝しています。
とくに、下肢の理解を助けてもらいました。
”本書の最終的な目標は、人体の描き方を説明することではない。”
本書の最終的な目標は、人体の描き方を説明することではない。人体というモチーフを利用して、立体形状を描き出す原則を使いこなす訓練を積むことだ。これはどの分野にも無限に応用ができる。
p.2『マイケル・ハンプトンの人体の描き方』
と『はじめに』の次のページで言い切っているように、
- ラインの使い方
- フォーム(立体形状)を作りあげる方法
- 簡略化した身体構造のデザイン
に重点を置いて解説してくれます。
多くを学んだ書籍リストで再会する先生たち
p.235に載っていた、多くを学んだ現代の著者たちの書籍のリストに、
- ウィリアム・ホーガス先生
- ポール・リッシェ先生
- ルーミス先生
- グレン・ビルプ先生
など、「なんか見たことある!」という先生方の名前が載っていて、ちょっとテンションが上がりました。
とくに、ウィリアム・ホーガス先生は「なるほど、だから力強くダイナミックな絵柄なのか!」と納得しました。
さいごに、ふわっとしたまとめ
めちゃくちゃ重要なんだけど、個人的にないがしろにしがちな基本
ふわっと感想を書いてみて、どちらも「平面上に立体形状を構築することの基本」を教えてくれる本だなって思いました。
紙の上に三次元の空間を表現するために、
単純な、
- シェイプ(二次元形状)
- フォーム(三次元形状、立体形状)
で対象を見る訓練方法を学べる本だったと思います。
そして、どちらの先生も柔軟性に長けていて個人的に安心
どちらの先生も、やり方を押し付けるのではなく、ひとつの方法として提示してくれました。
そこがすごく個人的に安心して信じることができました。
n回目の再会、ポール・リッシェ先生
私としては、もはやこのブログでは毎度おなじみ感のあるポール・リッシェ先生の名前が、ビルプ先生の本でもハンプトン先生の本でも出てきて「有名なんだな~」と思いました。
基本をおさらいして再挑戦
とりあえず私の感じていた「苦手さ」は「単純なシェイプやフォームを表現する訓練が足りなかった」のが原因っぽいです。
今回、二冊の本で基本をおさらいできたので、『箱と円筒で描く』にものんびり再挑戦したいと思います。